●ホタテガイ (帆立貝)
形態 二枚貝
膨らみの大きい方が右殻⇒海底では下側
平らな方が左殻。表面にうろこ状の模様⇒海底では上側
放射状の線は肋と呼ばれ左右の殻とも25本ある。
他の二枚貝は貝柱を二つ持つが、ホタテガイは、大きな貝柱がひとつだけある。
いわゆるひもの部分は外套膜縁といい、20〜30個の眼が表面についている。
この外縁には触手がある
生態 大きさは長さ、高さ共に20cmに達する。
日本では太平洋側の千葉県と日本海側の富山湾から北に生息。北海道や東北地方に多い。
20℃で成長が止まり、23℃以上で斃死し始め、25度で全滅してしまう。
潮通しのよい水深70m以浅の砂泥底、あるいは砂礫底に生息しており、水深30m以浅に多い。
海底では膨らんだ右殻を下にし、平らな左殻の上に薄く砂を被って生活する。
産卵期は春で、産卵盛期は稚内で5月、サロマ湖で5〜6月、陸奥湾で3〜4月、岩手で4〜6月。
水温が4〜8℃の時に産卵する。
雌雄異体で普段は見分けがつかないが、産卵期の卵巣は桃橙色、精巣は白色を帯びるため見分けることが出来る。
卵は直径70μmの沈性卵。ベリジャー幼生を経て受精後35日前後で殻長260μmの稚貝になり、貝殻の蝶番部から糸状の足糸を出して海底の礫や海藻などの基質に付着する。
その後2〜3か月で殻長10〜20mmになると足糸を切断し、底生生活に移行する。
寿命は約10年。成長は春と秋に良く、夏の高水温期や冬の低水温期に悪い。木の年輪のように貝殻の上にある線は、成長の停滞期に現れる
ため、この線の数で年齢を知ることが出来る。
えらに密生した細かい繊毛を動かして殻内に海水を通過させ、珪藻などの植物プランクトンや有機懸濁物をえらで濾しとって食べる。
漁法 従来、貝桁網によって漁獲されていたが、近年では約半分が養殖によって生産されている。
主要な生産地は北海道、青森、宮城、岩手。春から秋にかけて、毒化した植物プランクトンを食べることによってホタテガイ自体も毒化してしまうことがあるため、夏を中心に出荷が制限される。

養殖・栽培漁業
ホタテガイの浮遊幼生は、着低時に海底の転石や海藻などの基質に付着する。
この性質を利用し、ポリエチレン製の網袋の中に杉の葉や古くなった流し網などを入れて作った採苗器を海中に吊るして稚貝を付着させて採集する。
この稚貝は水深10mほどの潮通しの良い場所に吊るした網篭の中に入れて中間育成される。
その後、殻長が2cmほどになった大型種苗を放流、あるいは養殖する。現在の養殖方法は、海面から垂らしたロープにいくつもの篭を1列に吊るし、その篭にホタテガイを入れる方法が一般的である。