●スルメイカ (鯣烏賊)
形態 いわゆる胴の部分は先が細く尖った円錐形で、ひれは正方形に近い菱形をしている。
眼は開眼型(膜に覆われていない)で、軟甲は細長い。
足あるいはゲソといわれる部分は腕とされ、吸盤は2列。吸盤内の角質環には棘状の歯が6〜14個ある。
他より1.5倍ほど長い2本の腕は触腕といい吸盤は4列ある。
雄の右第四腕の先端部には微小な乳頭突起が2列に並び、交接腕となっている。
全体に赤褐色で、背部は濃色である。
生態 外套(胴の部分)長35cmに達する。生息に最適な水温は15℃前後。
昼は水深100mにいるが、夜間は表層近くまで浮上する。
生まれた時期の違いにより秋期発生群、冬期発生群、夏期発生群の三つの季節群がある。
秋期発生群の産卵期は9から11月、冬期発生群では1〜3月、夏期発生群は日本海中部で7〜9月、
日本海南西部で6〜8月、九州西岸で5〜7月、伊豆半島で4〜8月となっている。
雄は雌よりも2〜3か月早く成熟するため、交接行動は産卵の2〜3か月前に行われる。
スルメイカの卵は、直径0.8〜1.0mmほどの球に近い楕円形をしており、約4,000粒が、
直径30〜80cmほどの寒天質の透明球体に包まれて産出される。総産卵数は約40万粒。
孵化後、約8か月で22cm前後に成長する。
秋期発生群がもっとも大型になり、次いで冬期発生群、夏期発生群の順に成長の度合いが小さくなってゆく。
産卵行動を終了すると1年の寿命を迎えてしまう。
主にオキアミやヨコエビなどの浮遊性甲殻類、ハダカイワシ類などの小型魚類を食べる。共食いもする。
タコの墨には、ウツボの嗅覚を麻痺させる成分が含まれていて、煙幕のように敵の眼を眩ますためにある。
それに対して、イカの墨はタコの墨よりネバネバしていて拡散せず、一箇所に留まっている。
そのため、イカは敵に襲われると吐いた墨を身代わりにして逃げ去ると言われている。
漁法 疑似餌を用いた釣りによって漁獲されている。ほかにも底曳網や定置網、刺網などによって獲られている。
イカ釣り漁業は鎌倉時代からすでに行われていたようである。最初は一本釣りが主流であったようだが、
明治以降、機械化が進み使用する針数も増加した。
現在ではコンピュータ制御によって複数の釣機を操作する、ハイテクのイカ釣り漁船も導入されている。